日露関係の進展を阻害する「反日マフィア」とは

名越健郎
執筆者:名越健郎 2009年10月号
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: ロシア 日本

ロシア人の多くが親日的であるにもかかわらず、領土問題が一歩前進しようとすると暗躍を始める一群がいる。 昨年七月、洞爺湖サミット(主要国首脳会議)出席のため来日したロシアのメドベージェフ大統領は、日本が大層気に入り、帰国時に「日本にはこれから何度も来たい」と話していたという。同行のロシア人記者によれば、緑茶を愛好する大統領は、高級茶をダンボール三箱に詰め、専用機で持ち帰った。 スベトラーナ夫人も日本食ファンで、大統領より一日早く北海道入りし、寿司とエステを堪能した。一人息子のイリヤ君もドラえもんの大ファンだ。寿司をつまみ、緑茶を愛好する大統領一家の生活スタイルは、ロシアのエリートでは一般的だ。豊かになった彼らは健康志向を強め、ウオツカを日本酒に、紅茶を緑茶に変え、日本人の長寿の秘訣に学ぼうとしている。 サミット会場のホテルから洞爺湖に浮かぶ小島を見ながら、大統領は周辺にこうつぶやいた。「北方領土も、あのような島なら良かったのに……」。 政権内改革派の大統領は洞爺湖やその後のリマ、サハリンで行なわれた日露首脳会談で、北方領土問題について、「すべての障害を取り除く必要がある」「われわれの世代で解決する」「他の国際問題と同様、解決可能と思っている」などと前向きな発言を繰り返し、「独創的で型にはまらないアプローチ」を提唱した。

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執筆者プロフィール
名越健郎
名越健郎 1953年岡山県生れ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長を歴任。2011年、同社退社。現在、拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学東アジア調査研究センター特任教授。著書に『クレムリン秘密文書は語る―闇の日ソ関係史』(中公新書)、『独裁者たちへ!!―ひと口レジスタンス459』(講談社)、『ジョークで読む国際政治』(新潮新書)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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