霞が関改革 民主党政権はいかに戦うべきか

原英史
執筆者:原英史 2009年10月号
カテゴリ: 政治
エリア: 日本

政権交代で霞が関改革は進むのか。渡辺喜美行革担当相補佐官を務め、先ごろ退官した改革派官僚が、民主党へメッセージを送った。 この夏、城山三郎氏の「官僚たちの夏」がテレビドラマ化されて話題を呼んだ。昭和三十年代の通産省を舞台に、後に事務次官となる主人公の風越信吾はこう語る。「おれたちは、国家に雇われている。大臣に雇われているわけじゃないんだ」 戦後日本の復興のため何物にも怯まない主人公を象徴するセリフだが、「脱官僚主導」が焦点となる今日、違和感を覚える人もいるかもしれない。 だが、私は、官僚がこうした気概を持つこと自体は、何ら否定すべきではないと思う。 民間企業でも、「社長よりもずっと会社のためを考えている」と自負し、経営陣に楯突くことを厭わない社員は珍しくない。逆に、誰もが上司に唯々諾々と従うだけで、トップが暴走したときに歯止めのきかないような会社は、先行きが暗い。 ただ、こうした気概が、本当に国民や株主の利益に結びつくかは、常に微妙な秤の上だ。見識・熟慮・自制を伴わずに気概が発揮されれば、組織を混乱させるだけにもなる。 霞が関における最大の問題は、風越に代表される官僚たちの気概が、本来求められる慎重さを置き去りに空中浮遊し、それが次第に地表に降り積もって、制度や慣行として凝固していったことだと思う。それが「官僚主導」システムだ。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
原英史
原英史 1966年東京都生れ。東京大学法学部卒、米シカゴ大学院修了。89年通商産業省(現・経済産業省)入省。大臣官房企画官、中小企業庁制度審議室長などを経て、2007年から安倍・福田内閣で行政改革・規制改革担当大臣の補佐官を務める。09年7月退職。株式会社政策工房を設立し、政策コンサルティング業を営む。大阪府・市特別顧問、国家戦略特区ワーキンググループ委員(内閣府)、社会保障審議会年金事業管理部会委員(厚生労働省)を務めるほか、NPO法人万年野党理事、「地方議会を変える国民会議」発起人など。著書に『官僚のレトリック』(2010年、新潮社)、『「規制」を変えれば電気も足りる』(2011年、小学館101新書)、『日本人を縛りつける役人の掟/岩盤規制を打ち破れ』(2014年、小学館)、『国家と官僚』(2015年、祥伝社新書)。
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
逆張りの思考
価値あるバックナンバー
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
最新コメント
最新トピック
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順