ブックハンティング・クラシックス (54)

「政権交代」で浮かれる前に読んでおくべき「民主主義」の名著

執筆者:会田弘継 2009年10月号
エリア: 北米

『アメリカのデモクラシー』トクヴィル著/松本礼二訳岩波文庫 2005年刊(原著は1835年、40年刊。他の訳に講談社学術文庫の井伊玄太郎訳『アメリカの民主政治』などがある)「過去はもはや未来を照らさず、精神は闇の中を進んでいる」――。 八月三十日、民主党圧勝の衆院選挙速報をテレビで見ながら、トクヴィルの名著『アメリカのデモクラシー』の一節を思い出した。いよいよ政権交代。日本の戦後民主主義も新たな局面に入るのか。それにしても「風が吹いた」などと、はしゃいでいる場合ではないだろう。日本の状況はまさに、トクヴィルが生きた十九世紀前半のフランスのような、混沌たる光景だ。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
会田弘継(あいだひろつぐ) 関西大学客員教授、ジャーナリスト。1951年生まれ。東京外語大英米語科卒。共同通信ジュネーブ支局長、ワシントン支局長、論説委員長などを務め、現在は共同通信客員論税委員、関西大学客員教授。近著に『世界の知性が語る「特別な日本』』 (新潮新書)『破綻するアメリカ』(岩波現代全書)、『トランプ現象とアメリカ保守思想』(左右社)、『増補改訂版 追跡・アメリカの思想家たち』(中公文庫)など。訳書にフランシス・フクヤマ著『政治の衰退』(講談社)など。
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