政権交代で様変わり? 産業革新機構の役割

2009年11月号
エリア: 日本

 民主党への政権交代で、七月末に発足した官民ベンチャーファンド「産業革新機構」の存在が宙に浮いている。同機構は麻生前政権が「次世代の産業創出」を掲げて鳴り物入りで創設。だが、来夏の参院選をにらむ民主党は雇用悪化を加速させる企業の経営破綻に神経を尖らせており、霞が関では「機構の役割は成長企業の育成ではなく、経営難にある大企業の救済処理に変容する」(経済産業省幹部)との可能性も指摘されている。 具体的に名前が挙がるのはパイオニア。六期連続の赤字決算など経営危機は深刻だが、「三万人以上の雇用を抱えており現在の不況下では潰せない」(与党筋)というわけだ。政府内では最大九千億円の投資が可能な同機構の力も借りて、カーナビメーカーとの再編を絡めた救済構想が出ているという。 機構を率いる能見公一氏は専務理事まで務めた農林中央金庫時代に四十兆円にものぼるJAマネーの運用で国際分散投資体制を確立し、一時は辣腕ファンドマネージャーとして名声を得た。だが、昨年の米国発の金融危機では農林中金が海外での証券化投資などで多額の損失を出し「神話」に傷が付いた。能見氏が農林中金グループから退任した後、あおぞら銀に転じたのは、企業再生に取り組む思いもあったという。「神話」回復に強い意欲をみなぎらせる能見氏にとって機構の役割変化は思いに沿うかもしれないが、前途は多難だ。

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