金融庁が画策する「新生・あおぞら」合併行の使い道

執筆者:本田真澄 2009年11月号
カテゴリ: 経済・ビジネス 金融

「新たな銀行を経営基盤の弱い地銀・第二地銀の中央機関にできれば活路はある。農協系金融の農林中金、信用金庫業界の信金中金のような存在だ」 八月下旬、金融庁幹部は新生・あおぞら銀行の合併行を使った業界大再編の構想を描いてみせた。合併予定日は来年十月だが、あおぞら銀は八月二十日に茨城県に拠点を置く関東つくば、茨城銀行の両行と中小企業向け協調融資など幅広い分野で業務提携すると発表していた。 合併劇はリーマン・ショックによる両行の資金繰り破綻を憂慮した金融庁が仕組んだ。同庁監督局幹部は、あおぞら銀の筆頭株主である米大手投資ファンド、サーベラスや、新生銀の大株主であるウォール街の著名投資家クリストファー・フラワーズ氏を説得。最後は合併後もトップに残ろうとした新生銀の八城政基社長のクビに鈴を付け、新トップに地銀最大手の横浜銀行出身で、破綻し一時国有化された足利銀行の再民営化で手腕を発揮した池田憲人氏を据えるお膳立てまでした。 金融庁の“介入”には訳がある。新生銀は旧日本長期信用銀行として、あおぞら銀は旧日本債券信用銀行として、一九九八年にいずれも破綻し一時国有化された後、投資ファンドなどに売却され再民営化された。その際、両行には計四千億円もの公的資金が注入された。米証券化商品への投資の焦げ付きで両行の信用不安が深刻化する中、金融庁は「再び破綻させれば公的資金が毀損し、金融行政の責任が厳しく問われ、長官のクビが飛びかねない」(幹部)と危機感を強め、裁量行政に乗り出したわけだ。特に、資金繰りの約四割を金融債発行に依存してきたあおぞら銀は、筆頭株主サーベラスの経営危機が深刻化し、「連鎖破綻のリスクが現実味を帯びていた」(日銀筋)。

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