量産される「経済効果」のメカニズム

執筆者:村山敦 2009年11月号
カテゴリ: 経済・ビジネス 金融

「慣れた人なら数時間でできます。マニュアル化された公式に選んだデータを当てはめればいいだけですから。使用データは条件の定義によって変えられるので『望ましい結果』も自在に出せます」 あるシンクタンクの研究員は涼しい顔でそう言った。究極の皮算用というべき「経済効果」の話である。 オリンピックやサッカーのワールドカップ、国の景気対策や芸能人のスキャンダル――。ニュースになりそうな出来事があると、メディアはパブロフの犬さながらに、それが経済にどのくらい影響を及ぼすのかを報じたがる。「経済効果」を試算するのは、政府系あるいは民間の経済研究所やシンクタンク。後述するように、彼らには彼らの思惑がある。 実際に経済効果はどう弾き出されるのか。日銀がほぼ毎年行なっている「NHK大河ドラマが地域経済に与える経済効果」の試算を例にとってみてみよう。七月三十一日、日銀長崎支店は来年一月から始まるNHK大河ドラマ『龍馬伝』の経済効果を試算した。 経済効果の試算では、まず、ある現象が起きたときどのくらいの新規需要が発生するかを計算する。最初のステップだが、実はここが一番肝心。どのようなデータを集めるかで結果の数字が変わるからだ。

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