正念場を迎えた「液晶の先」のテレビ開発競争――次世代の光源「有機EL」 3

執筆者:船木春仁 2009年11月号
カテゴリ: 経済・ビジネス

 パナソニックは九月三〇日、テレビブラウン管事業としては唯一残されていた中国の合弁会社の株式を、すべて相手企業に譲渡すると発表した。パナソニックと共にブラウン管市場をリードしていたソニーも二〇〇八年三月に撤退しており、これで国内の主要メーカーでブラウン管事業を手がけるところはなくなった。 一八九七年にドイツのK. F. ブラウンによって発明されたブラウン管。それを単なる表示装置ではなく「テレビ」に変えたのは、日本人技術者、高柳健次郎だった。一九二六年、ブラウン管での電波受信の表示を可能にして以来、テレビは“二〇世紀の神器”として君臨し続けることになる。半導体を利用した表示技術の向上とブラウン管の性能向上は常に一体としてあり、ブラウン管の進化がテレビの進化を支えてきたともいえる。世界をリードしたのは日本メーカーだ。松下電器産業の「パナカラー」、日立製作所の「キドカラー」、東芝の「ユニカラー」、そしてソニーの「トリニトロン」。ブラウン管技術の進化は、日本のテレビメーカーの世界制覇の歴史そのものでもある。 日本のテレビメーカーのブラウン管事業からの完全撤退は、テレビがまったく新しい歴史を歩み始めたことを意味する。新時代を牽引しているのが液晶やプラズマなどのFPD(フラット・パネル・ディスプレー)だ。経済産業省の「機械統計」によれば、すでに国内のテレビ出荷台数一〇四〇万台のうち液晶が八七%、プラズマが一二%を占める(〇八年)。液晶に限れば、一九六八年に米RCA社のハイルマイヤーが液晶の表示装置(ディスプレー)の開発に成功してから四〇年で主役の座を奪ったことになる。

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