民主党が抱えこんだ「JAL再生」という地雷

執筆者:吉野源太郎 2009年11月号
エリア: 日本

新政権の最初の大仕事として注目を集めるJAL問題。だがこの問題の処理が民主党の政策の矛盾をあぶり出すことになりそうだ。「公開がこの時期になったのは全く偶然の一致です」(角川映画の企画担当者)。十月末、経営危機が正念場を迎える日本航空(JAL)をあざ笑うように、角川映画の「沈まぬ太陽」が全国一斉公開される。 原作はJAL労使紛争や御巣鷹山ジャンボ機墜落事故をもとにした山崎豊子の同名の小説。JAL首脳を激怒させた曰く付きの作品だ。JALは今年も映画製作に際して三回も抗議文を送った。だが、あれから二十四年もたったのに、今回の経営危機に至る構造も「沈まぬ太陽」の物語とよく似ている。 JALの経営危機は、たまたま誕生した民主党政権によってクローズアップされた。前原誠司国土交通大臣が、過去から延々と繰り返されてきたJALの問題先送りの道をふさいだからだ。 規模の割には企業の知名度は抜群の航空産業。なかでも戦後一貫して、日本を代表する「ナショナルフラッグ」の座にあったJALだから、この再生作業は、新政権の最初の大仕事としてたちまち全国の注目を集めることになった。 民主党にとって今、何よりほしいのは、自民党政治を一新する「脱官僚イメージ」だ。政官業癒着の見本として小説に書かれたJALの改革は、格好のテーマである。

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執筆者プロフィール
吉野源太郎 ジャーナリスト、日本経済研究センター客員研究員。1943年生れ。東京大学文学部卒。67年日本経済新聞社入社。日経ビジネス副編集長、日経流通新聞編集長、編集局次長などを経て95年より論説委員。2006年3月より現職。デフレ経済の到来や道路公団改革の不充分さなどを的確に予言・指摘してきた。『西武事件』(日本経済新聞社)など著書多数。
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