中印国境で高まる緊張 背後に中国軍内のある「思惑」

2009年12月号
カテゴリ: 国際

 中国とインドの国境地帯がきな臭い。表向きには両国首相が十月二十四日に「国防対話や相互理解と信頼の増進」を謳い上げたばかりだが、水面下では軍部隊の移動など緊張の一端をメディアにリークし合うなど、不穏な空気が強まっている。 焦点は、旧宗主国イギリスが一九一四年に定めたマクマホンラインに基づきインドが実効支配し、同ラインを認めない中国が帰属権を放棄していない、印北東部のアルナチャルプラデシュ州(中国名は蔵南地区)。今年六月以降、印メディアが「中国兵が境界線を越え一・五キロ侵入」「ヘリ二機が領空侵犯」と伝えれば、中国側も、インドは同州に二万五千の精鋭部隊を増派、おまけに十月にはシン首相が現地入りし「無用な挑発を繰り返している」と反発するなど、真偽不明の情報をもとに非難合戦を繰り広げている。 しかも十一月八日からはチベット亡命政府の指導者ダライ・ラマが、「インド政府は訪問許可を取り消すべきだ」(中国外務省報道官)との横槍にもかかわらず「説法のため」同州タワングのチベット仏教寺院に赴いた。「一九五九年の亡命以前、ダライは蔵南地区をチベットの一部と主張していたのに、今回はインド領と前言を翻した。インド政府はダライまで巻き込み騒動を作り出そうとしている」と中国は非難した。

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