「地元の中小企業」への融資で再生した足利銀行の軌跡

執筆者:鷲尾香一 2009年12月号
カテゴリ: 経済・ビジネス

 中小・零細企業の資金繰りをどう支援するか。永田町では政策論議がかまびすしいが、地道な改善の積み重ねで中小企業向け貸出金を増やしながら不良債権残高を減少させた金融機関がある。足利銀行だ。 かつては「地方銀行の雄」と呼ばれた足利銀がバブル期の放漫な不動産融資により経営破綻し、一時国有化されたのは二〇〇三年十一月末。民間銀行に戻ったのは〇八年七月のことだった。不良債権比率は〇四年三月末の二〇・六二%から〇九年三月末には四・三六%にまで減少。一方で中小企業向け貸出比率は〇四年三月末の七八・八%が、不良債権処理に伴い若干減少したものの、〇九年三月末でも七五・六%と地銀の中でも上位十行に入る。特に、中小企業向け貸出に占める地元向け貸出比率は九〇%前後を維持し続けている。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
鷲尾香一(わしおこういち) 金融ジャーナリスト。本名は鈴木透。元ロイター通信編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。
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