厚労省に葬られた民主党マニフェスト

執筆者:鈴木亘 2009年12月号
エリア: 日本

厚労省の「異様な概算要求」は、官僚たちのサボタージュを浮き彫りにした。腐蝕の構造にメスを入れるために有効な手段を考えてみよう。 政権交代後、民主党のマニフェストがようやく反映される来年度予算編成に、連日、国民の関心が集まっている。今年度の税収見通しが当初見込みから大幅に落ち込んで四十兆円前後となる中、十月十五日に締め切られた予算概算要求額は、一般会計で過去最大の九十五兆円台に膨張した。後の世代への安易な負担ツケ回しや長期金利上昇の懸念がある赤字国債増発を避けるため、行政刷新会議の事業仕分けや財務省の査定作業によって、どこまで各省の概算要求が削減できるか。民主党政権の政治主導・力量が試されている。 さて、そもそもの出発点の各省概算要求をみると、国土交通省が公共事業を大幅に見直し、自公政権下で立てた八月の概算要求から二兆円もの減額を行なったのを筆頭に、各省庁とも多少なりとも削減努力が窺える内容となった。こうした中、一つだけまさに「異様な」予算を組んできたのが、他ならぬ厚生労働省である。 厚労省の概算要求額は二十八・九兆円(一般会計)と、八月比で二・五兆円、平成二十一年度当初予算比で三・七兆円もの増額となっている(表1)。もちろん、子ども手当を初めとする民主党のマニフェストの目玉が居並ぶ厚労省予算である。ある程度の予算拡大は仕方ないという見方がマスコミ等でも一般的であるし、私自身も、八月比で多少拡大することは十分理解できる。しかし、私が感じる異様さは、実は別のところにある。

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執筆者プロフィール
鈴木亘 1970年生れ。上智大学経済学部卒。日本銀行勤務。大阪大学大学院修了(経済学博士)。大阪大学社会経済研究所、日本経済研究センター、東京学芸大学を経て、2009年4月より現職。規制改革会議専門委員(保育担当)。主著に『生活保護の経済分析』(共著、東京大学出版会、第51回日経・経済図書文化賞)、『だまされないための年金・医療・介護入門』(東洋経済新報社、第9回日経BP・BizTech図書賞)がある。
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