「お友だち」に頼る民主党人脈の危うさ

執筆者:富山創一朗 2009年12月号
タグ: 安倍晋三 日本
エリア: アジア

「お友だち内閣」と言えば、安倍晋三内閣に貼られたレッテルだったが、鳩山由紀夫・民主党内閣も違った意味での「お友だち依存」が鮮明になってきた。安倍内閣の場合、「お友だち」と言っても皆、政治家だったが、民主党は「単なるお友だち」を抜擢する例が相次いでいる。しかも中には首をかしげたくなるような危うい人事も含まれる。「脱官僚依存」の掛け声は勇ましいが、「閣僚の多くが野党暮らしが長いため、まともな人材が周囲にいない」と官僚たちに見透かされる始末だ。 金融関係者が度肝を抜かれたのが、日本郵政の人事。といっても、社長に決まった斎藤次郎・元大蔵事務次官の話ではない。副社長に抜擢された高井俊成氏である。高井氏は破綻して一時国営化された元日本長期信用銀行の常務だった人物。ところが長銀が破綻した後、架空増資事件で逮捕者まで出した丸石自転車の監査役を務めていた。また、同じく架空増資の舞台となった駿河屋事件では、増資を仕向けた企業の取締役に就いていた。二つの架空増資事件は、裏社会が企業を食い物にしたという点で共通している。高井氏本人は架空増資への関与を強く否定しているが、事件当時、役員だったという事実は消えない。

カテゴリ: 政治 経済・ビジネス
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