アフガニスタン「仏軍襲撃事件」の謎と波紋

執筆者:林路郎 2010年1月号
カテゴリ: 国際

[パリ発]オバマ米大統領が三万人の米軍増派を決め、同盟国に協調を求めたアフガニスタン情勢。英国、イタリア、トルコなどは前向きに応じたが、仏独は見送り、北大西洋条約機構(NATO)加盟国の足並みは乱れた。特に、サルコジ仏大統領が二の足を踏む背景にあるのが、二〇〇八年八月のアフガン武装勢力による仏軍襲撃事件をめぐる謎だ。「なぜ事件は起きたのか」を問い、仏軍死亡兵の遺族が前代未聞の訴訟を起こし、政権を苦しめている。 事件現場はカブール東方約六十キロのスロビ地区。夜間偵察に出た空挺部隊の約六十人が、タリバンなど約百七十人の重武装集団に包囲、銃撃された。立ち往生した仏軍は翌朝、米軍機の爆撃を受けた武装勢力が退却するまでに九人が死亡、重傷の一人も後に死亡し、二十一人が負傷した。仏政府は殉職者に国家勲章を授け、事件は落着するかに見えた。 だが〇九年十月、英紙タイムズの記事で事情は一変する。同紙は米情報機関筋の話として、「スロビ駐留を仏軍に引き継いだイタリアは自軍の駐留中、武装勢力に定期的に賄賂を贈り、代わりに伊軍の安全を保証させた」と報道。「伊軍が仏軍に密約の存在を知らせなかったために、事情を知らない仏軍は油断したまま偵察に出た」と伊軍を批判した。

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