プーチン時代のツケに苦しむロシア経済の低迷

執筆者:酒戸充 2010年1月号
エリア: ロシア

他の新興諸国に比べ、立ち直りが遅れるロシア経済。オイル・マネーで新たな産業を育ててさえいれば……。[モスクワ発]モスクワ市内にある日本車販売店。二〇〇六年から〇八年夏ごろまでは週末ともなれば駐車場の空きを見つけるのも難しかったが、今はお客もまばらだ。ロシアの〇九年十月の自動車販売台数は約十二万七千台で、前年同月比五二%減となった。一―十月累計の販売台数は五一%減。販売員は「まだ底は見えません」と手持無沙汰な様子だ。消費だけではない。十月の鉱工業生産は前年同月比二ケタ減となった。 ロシア経済の立ち直りが遅い。〇九年の国内総生産(GDP)は前年比八・五―八・七%減となったもようで、中国、インド、ブラジルなど他の新興国に比べて落ち込みの大きさが目立つ。ウラジーミル・プーチン氏が初めて首相として登場した一九九九年から大統領職を退任した二〇〇八年までの十年で平均六%以上の成長を達成し、ロシア投資ブームも起きたが、〇八年に発生した世界金融危機はロシア経済の底の浅さを露呈する結果となった。 経済が低迷する理由は何か。〇九年十一月の年次教書演説でのドミトリー・メドベージェフ大統領の発言にその答えがある。「石油・ガス、核兵器などロシアはすべてソ連時代の遺産に依存したままだ」――。裏を返せば、ソ連崩壊以降、新たな産業が育たなかったことを認めたものだ。石油価格の上昇で得た資金の多くは輸入品の消費に消えた。かつてない繁栄は「油上の楼閣」だったのだ。

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