バンクーバー五輪に向けた金妍児の「ロビー活動」

執筆者:生島淳 2010年1月号
カテゴリ: スポーツ

 二〇〇九年十二月、東京で開かれたフィギュアスケートのグランプリファイナルで、金妍児(韓国)が順当に勝利を収めた。 当然、来る二月のバンクーバー五輪の本命は金妍児になる。本連載〇九年二月号でも詳述した通り、〇二年のソルトレイクシティ五輪で不正採点疑惑があってから国際スケート連盟は採点方法を細分化した。今季に入って二百点の大台を突破した女子選手は金だけで、得点だけを比較するなら男子にも見劣りしない。 金陣営は演技だけでなく、金メダル獲得を確実にするために、開催国であるカナダへの「ロビー活動」を続けてきた。 金は〇六年、ジュニアからシニアにステップアップするにあたって練習拠点を韓国からカナダに移した。 韓国のフィギュアスケートの歴史は浅い。一九九六年に男子の韓国選手権が初めて行なわれ、九八年から女子、そしてアイスダンスが加わったがペアは現在も行なわれていない。一般スケーターの数も少なく、競技全般を見ると成熟しているとは言い難いのである。 そこでコーチングも含め、最良の環境を探した結果、拠点として選ばれたのがカナダの「トロント・クリケット・スケーティング・カーリングクラブ」だった。このクラブは、創立が一八二七年にまでさかのぼる名門で、カナダ経済の中心地であるトロントの上流階級の社交場として機能してきた。長野五輪の銀メダリスト、エルビス・ストイコなど数々のフィギュアスケーターを生んできたことでも知られている。重要なのは金陣営が拠点をこのクラブに移したことで、カナダ財界との太いパイプを築くことが出来た点だ。

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執筆者プロフィール
生島淳 1967年生れ。広告代理店勤務を経て93年よりライターとして活躍。著書に『大国アメリカはスポーツで動く』(新潮社)など。
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