【インタビュー】イ・チュンニョル(映画監督) 「牛の鈴音」が韓国に呼び覚ましたもの

執筆者:草生亜紀子 2010年1月号
エリア: 朝鮮半島

 大きな出来事もない静かなドキュメンタリー「牛の鈴音」が二〇〇八年、韓国で社会現象となり、国際映画祭で数々の賞に輝いた。登場するのは、痛々しいほどに老いた一頭の役牛(韓国では仕事牛と呼ぶ)と、無口で偏屈なおじいさん、そして悪態をつき続けるおばあさん。舞台は、首都ソウルの東南百七十キロの慶尚北道奉化郡の田舎の村である。「最初はアート作品を専門とする七館のみで公開したところ、十代後半から二十代の若い観客から良い反応があり、『ぜひ両親に見せたい』と、上の世代を連れてきてくれました。さらに口コミが広がって、最終的には韓国のドキュメンタリー映画の動員数としては前例のない三百万人を超える人が見てくれました」と、イ・チュンニョル監督(四三)は語る。

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