世界に迫る「失われた二〇一〇年代」の恐怖

執筆者:小田博利 2010年2月号
エリア: 中国・台湾 北米

危機を抱えたままの米国に、バブルの様相を呈する中国。憂鬱なシナリオにはこと欠かないが、二〇一〇年代はどんな十年になるのだろうか。 年明け早々、予算案を組んだ財務相が辞任した。藤井裕久財務相は掛け値なしに「疲れた」のだろう。マニフェスト(政権公約)に基づいて膨張する予算要求と、国債の新規発行額を約四十四兆円に抑えるという努力目標の辻褄を合わせる重労働に。いや、小沢一郎幹事長の陳情仕分けによって、予算の骨格が決められていく姿に。 予算案を組んだ直後の辞任劇といえば思い出すのが、自社さ連立政権の武村正義蔵相である。農林系金融機関との綱引きに負けて、住宅金融専門会社(住専)処理に当初予定していなかった六千八百五十億円の公的資金を投入する羽目になった。説明がつかなくなり、蔵相ポストを投げ出した。それは村山富市首相が政権を放り出す布石だった。 新党さきがけで武村氏と抗争を演じた鳩山由紀夫氏は、いま首相の座にある。その鳩山首相は藤井財務相が辞めたからといって、その後を追うつもりなどないようにみえる。小沢幹事長に権力の重心があると承知しているからだ。ポスト鳩山を意識する菅直人副総理が財務相の座についたのは、ひとえに小沢氏に恭順の意を表しているためであろう。

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