ワヒド氏死去で再浮上したスハルト氏「国家英雄」問題

2010年2月号
カテゴリ: 国際

 昨年十二月三十日にインドネシアのワヒド元大統領が死去した。民主化促進などの生前の功績からワヒド氏を「国家英雄」に認定する動きが国内で高まっている。しかし、そうした動きに対し、国家英雄への認定が保留されているスハルト元大統領の問題が再浮上、「ワヒド氏が国家英雄ならスハルト氏も国家英雄に列せられるべきだ」との議論が噴き出し、国論を二分する様相を呈し始めている。 インドネシアでは一九六七年に「国家に貢献」「国民の道徳の規範」などを基準に「国家英雄」が制定された。これまでに独立戦争の英雄や人権運動家、宗教指導者など百五十人以上がこの名誉の称号を得ており、スカルノ初代大統領も国家英雄となっている。 しかし、基準の中には「刑法で実刑に問われたことがない」という項目があり、スハルト氏が在職中の不正蓄財などを裁判で問われたことや、民主化運動弾圧、人権侵害などから国家英雄の認定が保留されてきた。 ワヒド氏の国家英雄認定に関して異議は唱えられていないが、スハルト長期独裁政権時代の与党の流れをくむゴルカル党からは「過去の大統領は全て国家に貢献しており、全大統領にその資格がある」として、スハルト氏にも称号を与えるべきだとの声が上がり、賛否両論が噴出している。

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