金メダルを狙うノルディック複合の復活

執筆者:生島淳 2010年2月号
カテゴリ: スポーツ

 今年のバンクーバー五輪で、日本のメダル獲得が有力視されている種目がある。 ノルディック複合である。 前半はジャンプ、後半はジャンプの点数をタイム差に置き換えてスタートするクロスカントリー(距離競技)によって争われるのが複合競技だ。 一九九〇年代、日本は荻原健司、河野孝典ら才能ある選手を擁して、団体では九二年のアルベールビル、九四年のリレハンメル五輪の両大会を連覇した。 この金メダルは日本の戦略勝ちと言えた。ジャンプで大量にリードし、クロスカントリーではそのまま逃げ切ってしまおうという作戦である。これが当たった。 しかし国際スキー連盟(FIS)は日本の作戦に業を煮やした。リレハンメル後、FISはジャンプの点数をタイム差に変換する時に、大きな差がつかないように、一ポイント当たりの秒数を縮めたのだ。明らかに日本を標的としたルール改正だった。 なぜ、このような改正が行なわれたのか。それはノルディックに対する欧州と日本の考え方の違いがある。 ノルディックが盛んな国々では、複合の王者に「キング・オブ・スキー」の称号が与えられてきた。勇気を必要とされるジャンプと、耐久力が試されるクロスカントリーを両立させることは極めて難しい。その困難を乗り越えて高みに達した選手たちに、欧州の人々は称賛をおくってきた。

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執筆者プロフィール
生島淳 1967年生れ。広告代理店勤務を経て93年よりライターとして活躍。著書に『大国アメリカはスポーツで動く』(新潮社)など。
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