欧州を揺さぶるギリシャの「シャドー・エコノミー」

執筆者:木戸朝矢 2010年2月号
エリア: ヨーロッパ

デフォルトの危機がささやかれる一方で、豊かな生活を続ける国民。その不思議なズレから、南欧経済が抱える深刻な課題が見えてくる。

 2009年末、国際金融市場をギリシャが揺さぶった。過剰債務問題がクローズアップされ、「ドバイの次」としてデフォルト(債務不履行)の危機が市場関係者の間でささやかれたのだ。ギリシャが抱える問題には南欧経済に共通する課題が多い。「ユーロの最も弱い環」とされる同国が直面する危機は、欧州経済の弱さを象徴している。
 この時期、晴天のアテネは春のような気候だ。冬物のセールが真っ盛りで街は活況に沸く。北部にある大規模ショッピングセンター「モール」では、ブランド商品の紙袋を両手に抱えた多くの買い物客の姿があった。ユーロ圏の過剰債務国として国際金融市場を揺さぶった深刻さは感じられない。
 アテネ観光の目玉、アクロポリスのパルテノン神殿では、円高ユーロ安の恩恵で再び姿が目立ち始めた日本人のグループ旅行客が列をなす。郊外の高級住宅街にまで足を延ばせば困惑はさらに広がる。新築、増築、改築ラッシュで、不動産市況が冷え込んだままの欧州の他都市と比べても好調な様子がうかがえる。
 国家財政の窮状と人々の余裕という矛盾の背景は何なのか。ギリシャ問題の理解には同国経済の独特の構造と、戦後のユニークな歴史を振り返る必要がある。

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