“司令塔不明”JAL再生は茨の道

執筆者:吉野源太郎 2010年3月号
エリア: 日本

政治と行政にしばられてきたJALを、今また再建の名のもとに関係者が弄ぶ。支援機構は期待に応えられるのか。 話は二〇〇七年春にさかのぼる。この年、旧産業再生機構は四十一の支援案件すべての処理を終えて解散したが、そこで、ちょっとした面倒が発生した。東京・丸の内にあった本社オフィスの部屋をなかなか撤去できなかったのだ。 同機構は入居したときに部屋に特殊な改装を施していたため、回復に手間取ったからだ。改装とは天井裏の仕切り。入居前はこのビルも普通のビルと同じように、フロアの天井裏はがらんどうの空間で様々な配管が走っていた。再生機構は部屋ごとに天井裏も仕切りで区分けした。 理由は驚きだ。来客を通す部屋の天井裏には隠しカメラと録音テープが仕込まれていた。下の部屋で行なわれるやりとりはすべて記録される。その際、他の部屋の雑音が入って再生に支障をきたすことのないよう天井裏に防音壁を設けたのである。 まるで007の諜報活動もどきだが、この仕掛けこそ「再生機構の作業の透明性を維持するのに不可欠だった」と再生機構元幹部は言う。 再生機構に持ち込まれた案件には借金や資産の権利などがからむ。訪ねてくる金融機関や国会議員、自治体の首長や裏の世界の人々はすべて、なにかの要求を持ち込んでくる。

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執筆者プロフィール
吉野源太郎 ジャーナリスト、日本経済研究センター客員研究員。1943年生れ。東京大学文学部卒。67年日本経済新聞社入社。日経ビジネス副編集長、日経流通新聞編集長、編集局次長などを経て95年より論説委員。2006年3月より現職。デフレ経済の到来や道路公団改革の不充分さなどを的確に予言・指摘してきた。『西武事件』(日本経済新聞社)など著書多数。
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