「狩猟生まれ、冷戦育ち」のバイアスロン

執筆者:生島淳 2010年3月号
カテゴリ: スポーツ

 日本ではなじみが薄いけれど、いかにも冬季オリンピックらしいスポーツがある。バイアスロンだ。「バイ」とはギリシア語で「二つ」という意味を表す接頭辞で、「バイアスロン」となると、クロスカントリースキーとライフル射撃の二つの種目を組み合わせた競技になる。 男女別に個人、スプリント、パシュート、マススタート、リレーの五種があり、クロスカントリーの距離は男子個人の周回コースで二十キロ。それをスキーで走りながら、途中五カ所に設定されている五十メートル先の標的を、各周ごとに狙って伏せ撃ち、立ち撃ちを行なうが、的を外してしまうと、一周百五十メートルの「ペナルティコース」での罰則やタイム加算がある。 バイアスロンはもともと、北欧の人々が日々の糧を得るためにスキーを履き、銃を担いで行なった狩猟が起源だと言われる。 競技としての原型は、十八世紀後半にスウェーデンとノルウェーの軍が始めたトレーニングのひとつだった。ノルウェーはスウェーデン、フィンランド、そしてロシアと国境を接していることから国境警備を充実させる必要があり、バイアスロンが発達した。 バイアスロンの国際大会は、第一次世界大戦後の一九二四年、フランスのシャモニーで開かれたオリンピックが初めてだが、このときの競技の名称は「ミリタリー・パトロール(軍事偵察)」だった。

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執筆者プロフィール
生島淳 1967年生れ。広告代理店勤務を経て93年よりライターとして活躍。著書に『大国アメリカはスポーツで動く』(新潮社)など。
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