日本のウラン権益を脅かすカザフスタン大統領一家絡みの権力闘争

2010年4月号

 日本とカザフスタンの原子力協定が三月二日に調印された。世界第二位のウラン埋蔵量を誇る同国では、東芝や東京電力など日本企業が権益を獲得しており、原発燃料を継続的に確保する一応の枠組みが整った。  しかし、カザフスタンでは莫大なウラン利権をめぐり、大統領一家が絡んだ激しい権力闘争が水面下で続いており、背後には同国の台頭を嫌うロシアの暗躍も指摘される。協定は両国議会の批准で発効するが、政争の再燃が安定供給に影を落とす事態も懸念される。  権力闘争は昨年五月、国営原子力企業カズアトムプロムの親日派社長ジャキシェフ氏が突然、ウラン権益売却をめぐる不正を理由に逮捕され、親ロシア派のシュコリニク社長が誕生したことで決着したかに見えた。  しかし、最近になって拘束中のジャキシェフ氏が正当性を訴える長時間の動画がネットに流れ、治安機関の中にさえジャキシェフ派の力が温存されている実態を示した。  ジャキシェフ氏はナザルバエフ大統領の長女の元夫で失脚したアリエフ元駐オーストリア大使に近く、後任のシュコリニク社長は大統領の二女の夫の盟友であるマシモフ首相に近い。独裁者一家の確執が利権闘争を泥沼化させている。

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