次の20年の20人 馬雲

執筆者:砂谷真 2010年4月号
タグ: 中国 香港
エリア: アジア

 グループ傘下に企業間電子商取引(EC)サービスのアリババドットコム、消費者向けECのタオバオ(淘宝網)、オンライン決済のアリペイ(支付宝)を擁し、いずれも中国国内で圧倒的なトップに立つ。香港上場のドットコムだけでも時価総額が百十億米ドル。グループ全体の企業価値は確実にネット業界で世界五指に入るだろう。 中国では、代金や商品の取りっぱぐれが悩みの種。間に立って商取引を完結させる仲介サービスは他国以上に価値がある。これを創業時から見通し、今ではネットの方が安全との信用を全土で確立した。 ビジョンは常に明確だ。経済危機を察知し、世界中がパニックに陥った二〇〇八年秋にはすでにコスト削減を一巡させ内需シフトに舵を切っていた。顧客と社員を株主より重視すると公言し、上場益より事業収益に集中。草創期に投資したソフトバンクの孫正義社長の信頼が厚く、後継者候補との説さえある。中国のインターネット人口は〇九年末で三億八千四百万人と断トツの世界一だが普及率はまだ三割。四十五歳の元英語教師の可能性は底知れない。

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