二十世紀の超大国・米国は今世紀も覇権を維持できるのか。近年繰り返されてきた、その論議の大勢はリーマン・ショック以降、悲観論に傾く。最近の米国言論界では、十八世紀の歴史学者エドワード・ギボンの名著『ローマ帝国衰亡史』が頻繁に引用される。戦争の拡大と経済破綻。今の米国が犯した過失を歴史になぞらえ、警鐘を鳴らす論調が多い。 皮肉屋でならす経済評論家のベン・スタイン氏は米ニューヨーク・タイムズ紙のコラムで、八十年後に北京大学が出す歴史書を予測した。題名は「米国の衰亡」。超大国が今世紀初頭からの「愚かな政治」で衰退に至る過程を、新覇権国家の中国が分析するという見立てだ。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン