改善の望みは薄い「体裁だけの民主主義」

執筆者:白戸圭一 2010年4月号
タグ: 経済 中国 インド
エリア: アフリカ

 米国家情報会議が二〇〇八年十一月に作成した報告書「グローバル・トレンド二〇二五」は、二〇二五年のサハラ砂漠以南アフリカについて「世界的な原材料の需要増加にもかかわらず、人口の大部分は資源からの収入増、それによる大きな経済的利益の恩恵を受けることはないだろう」と悲観的な予測を示している。経済が急成長しているアフリカだが、所得格差は拡大の一途であり、二十年後も世界で最も脆弱かつ不安定な地域であることに変化はなさそうだ。 今日のアフリカの成長は、中国やインドなど新興国の資源需要増という外的要因に牽引されている。アフリカ側のガバナンスの改善によって内発的に始まった成長ではないことは、スーダン、アンゴラ、赤道ギニアなど政治腐敗が深刻な産油国ほど成長率が高いことを見れば分かる。

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執筆者プロフィール
白戸圭一(しらとけいいち) 立命館大学国際関係学部教授。1970年生れ。立命館大学大学院国際関係研究科修士課程修了。毎日新聞社の外信部、政治部、ヨハネスブルク支局、北米総局(ワシントン)などで勤務した後、三井物産戦略研究所を経て2018年4月より現職。著書に『ルポ 資源大陸アフリカ』(東洋経済新報社、日本ジャーナリスト会議賞受賞)、『日本人のためのアフリカ入門』(ちくま新書)、『ボコ・ハラム イスラーム国を超えた「史上最悪」のテロ組織』(新潮社)など。京都大学アフリカ地域研究資料センター特任教授、三井物産戦略研究所客員研究員を兼任。
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