80時間世界一周 (68)

「世界の工場」に広がるアフリカ・タウンの勢い

執筆者:竹田いさみ 2010年4月号
エリア: アフリカ アジア

「世界の工場」として知られる中国・広州にアフリカ人街があると聞き、訪ねてみることにした。地下鉄二号線の終点「三元里」。「小北路」という市内の大通りにもアフリカ人があふれ、アフリカ貿易センターのビルが屹立していたが、ここは別世界だ。噂に違わずアフリカ人だらけである。いずれも広州の北西地域にあり、アフリカ系黒人も多く住む米国ニューヨークのブルックリンを彷彿させることから、「アジアのブルックリン」と呼ばれている。 中国にビジネス・チャンスがあると信じ、ナイジェリア、エチオピア、ケニア、タンザニア、コンゴなどから、大勢のアフリカ人が飛行機を乗り継いで広州にやってくる。広州の白雲国際空港から三元里までタクシーを飛ばせば約二十分だが、香港に到着したアフリカ人は迷わずバスに飛び乗る。所要時間は三時間。格安のバス情報はすでに彼らの「知るところ」であるらしい。

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執筆者プロフィール
竹田いさみ(たけだいさみ) 獨協大学外国語学部教授。1952年生れ。上智大学大学院国際関係論専攻修了。シドニー大学・ロンドン大学留学。Ph.D.(国際政治史)取得。著書に『移民・難民・援助の政治学』(勁草書房、アジア・太平洋賞受賞)、『物語 オーストラリアの歴史』(中公新書)、『国際テロネットワーク』(講談社現代新書)、『世界史をつくった海賊』(ちくま新書)、『世界を動かす海賊』(ちくま新書)など。
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