野党共闘を壊した参院自民の泥仕合

執筆者:野々山英一 2010年8月6日
カテゴリ: 政治
エリア: 日本

 7月11日の参院選は民主党の惨敗に終わった。マスコミは、参院で多数を占める野党が攻勢を仕掛け、菅政権は早晩窮地に追い込まれるとの観測記事を連日書いている。ところが、その野党内では、早くも足並みの乱れが見え始めた。与野党対決の第1ラウンドともいえる参院議長人事をめぐる駆け引きで、野党共闘が空中分解したのだ。
 衆参両院の議長は比較第1党から選ばれるのが慣例で、ルール通りなら民主党が議長を取ることになる。しかし例外もある。例えば1993年、細川護熙氏を首班とする非自民連立政権が誕生した時は、第2党の社会党委員長だった土井たか子氏が議長に就いた。その前例を盾にとって徹底的に与党と争えば、野党が「数の力」で議長ポストを取るのも可能だった。
 参院選直後は、議席を大幅に伸ばした自民党、みんなの党を中心に、主戦論が優勢だった。自民党が議長を取る場合、議長候補は参院議員会長だった尾辻秀久氏か参院幹事長だった谷川秀善氏が有力となる。
 だが、意外にもこの2人は議長就任に前向きではなかった。議長になれば、与党側から「慣例破り」と非難される。公平な議会運営をしようとすれば、野党側から「どちらの味方なのか」と突き上げをくらうのも目に見えている。野党が議長を取るのは憲政史上、画期的なことではあるが、2人には「割の合わない」仕事と映ったようだ。さらに公明党が「自民党議長」に慎重だったことも自民党幹部の動きを鈍らせた。途中、自民党からは公明党の長老・草川昭三氏を議長候補に推す奇手も浮上したが公明党側から反応はなかった。
 みんなの党の渡辺喜美代表らは、自民党幹部が本気で議長ポストを取る気がないことを見透かしていたが、それでも「野党で議長を」と主張し続けた。議長を取れれば「みんなの党主導で実現した」とアピールできるし、仮に取れなくても「自民党が腰砕けになった」と責任転嫁すればいいと判断したのだ。
 自民党側も当然、みんなの党のスタンドプレーを察知。両者間にはすき間風が吹いた。

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