公式発表の裏側を読む

原英史
執筆者:原英史 2010年9月1日
エリア: 日本

 「行政のウォッチングの部屋」で、行政のさまざまな動きについてご紹介していくことになりました。
行政の世界で起きていることは、外から見ていると、わかりづらいことが多いと思います。「事実」は、日々、新聞などで報道されています。しかし、こうした報道は、役所からの“公式発表”に乗っかったものや、表層的な事実だけなぞったようなものが少なくありません。そうした表層の裏側に、本当に大事な事柄が隠されているのです。

 一つだけ例を挙げてみましょう。
参院選後から、「国家戦略室の機能縮小」が話題になっています。かつて民主党が看板として掲げた「政治主導」の枠組みづくりの根幹をどうするのか、今後の党代表選や秋の臨時国会でも重要テーマになることでしょう。

 ここで「機能縮小」という話が出てきた理由は何なのでしょうか。新聞では、「衆参ねじれが生じ、『国家戦略局』の設置法案の成立の目途が立たなくなったため」と報じられていました。

 これは、根本的に間違っています。 そもそも、「国家戦略局」を設置するためには、法改正など必要ありません。内閣法の条文をみると、「内閣官房の内部組織」は「政令」で定めてよいことになっています。「政令」というのは、「法律」の下位規範で、国会にかけなくても、閣議で決めてしまえば成立します。つまり、「国家戦略局」は、はじめから、閣議で決めさえすれば、作ることができたのです。

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執筆者プロフィール
原英史
原英史 1966年東京都生れ。東京大学法学部卒、米シカゴ大学院修了。89年通商産業省(現・経済産業省)入省。大臣官房企画官、中小企業庁制度審議室長などを経て、2007年から安倍・福田内閣で行政改革・規制改革担当大臣の補佐官を務める。09年7月退職。株式会社政策工房を設立し、政策コンサルティング業を営む。大阪府・市特別顧問、国家戦略特区ワーキンググループ委員(内閣府)、社会保障審議会年金事業管理部会委員(厚生労働省)を務めるほか、NPO法人万年野党理事、「地方議会を変える国民会議」発起人など。著書に『官僚のレトリック』(2010年、新潮社)、『「規制」を変えれば電気も足りる』(2011年、小学館101新書)、『日本人を縛りつける役人の掟/岩盤規制を打ち破れ』(2014年、小学館)、『国家と官僚』(2015年、祥伝社新書)。
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