リチウムをめぐる韓国とボリビアの協力

遅野井茂雄
執筆者:遅野井茂雄 2010年9月15日
エリア: 中南米 朝鮮半島

 ボリビアのウユニ塩湖に眠るリチウムの開発をめぐり韓国が熾烈な外交攻勢をかけ、日本企業を追い越そうとしている旨の記事が日本経済新聞に掲載されました(9月8日付夕刊2面「韓国、ボリビアとリチウムで協力」)。韓国李明博大統領の実兄の国会議員が昨年末から今年にかけ3度も大使館のないボリビアを訪問、遠路、4000メートルの高地を厭わず再三足を運んだことにボリビア側が感激し、8月末のモラレス大統領の訪韓を実現、リチウム電池の産業化への協力に向けた覚書に調印したというものです。

 この手の覚書は実質的な意味をもつものではなく、開発権が韓国に決定したというものではまったくありません。日本は、戦後の移住者の開発の貢献やODAを介した伝統的な友好関係に立って、官民連携の下、オールジャパンで開発権の獲得を目指した外交を展開しており、韓国をリードしている実態に変わりありません。

 もっとも8日の記事には経済産業省も驚いたようです。9月12日付日本経済新聞によれば、週明けにも同省の担当者が現地を訪問し、ボリビア政府に新たな開発協力の提案を行うなど、日本が官民一体で協力を推進するとの政府の意向が改めて強調されています。

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執筆者プロフィール
遅野井茂雄
遅野井茂雄 筑波大学大学院教授、人文社会系長。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(編著)。
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