クオ・ヴァディス きみはどこへいくのか?
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死刑の作法

徳岡孝夫
執筆者:徳岡孝夫 2010年9月22日
カテゴリ: 社会
エリア: 中東 日本

 死刑は深く重い命題で、死刑について考える人はしばしば無言に追い込まれる。「人が人の命を絶っていいのか」「人はよく過ちを犯すものだ」という認識や疑問が絡まり、安直な断定を阻む。かと思えば、問題が大きすぎるせいか、奇妙な行動を取る人がいる。  日本にも、その手の政治家がいた。彼女は死刑制度を嫌悪する法律家だったので、選ばれて法務大臣になって最初のうちは、死刑執行命令に署名しなかった。  しかし日本国刑法が死刑という罰を認めている以上、大臣が死刑を行なわないのは職務規律に違反する行動である。死刑がイヤならイヤでいい、法務大臣にならないかと誘われたときハッキリ断るべきだった。私的な信念とそれを否定する公的な義務を、使い分けて月給を取ろうとは厚かましい。

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執筆者プロフィール
徳岡孝夫 1930年大阪府生れ。京都大学文学部卒。毎日新聞社に入り、大阪本社社会部、サンデー毎日、英文毎日記者を務める。ベトナム戦争中には東南アジア特派員。1985年、学芸部編集委員を最後に退社、フリーに。主著に『五衰の人―三島由紀夫私記―』(第10回新潮学芸賞受賞)、『妻の肖像』『「民主主義」を疑え!』。訳書に、A・トフラー『第三の波』、D・キーン『日本文学史』など。86年に菊池寛賞受賞。
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