1987年のことだったと思う。フランスの援助政策を調べにパリに出かけた。日本政府代表部でOECD開発援助委員会(DAC)を担当している公使に会い、カフェで昼食をご一緒した。
「DACで途上国といえばアフリカのことをさす。そのなかで日本はただひとり、アジアにもまだ開発支援が必要だと言い続けている。アフリカに対して日本が援助しているのは、こういった国際援助に関する発言権を確保するための、いわば会費のようなものなんだ」
と話してくれた。1983年大旱魃のあとのアフリカ救済キャンペーンが世界中を席巻した直後のことで、とても印象に残っている。悪い意味ではない。30歳そこそこの若造に外交現場の一端を吐露してくれたと感じたし、「アフリカを救え」キャンペーンと援助政策は、協調は望ましいとしても、別物として考えなくてはならないと思っていたからだ。
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