6年前に南アフリカに赴任したとき、私の後任としてアジア経済研究所(通称アジ研)のアフリカ研究グループ長を引き継いでくれたのが、武内進一君だった。現在は、請われてJICA研究所に出向している。
武内君は東京外大フランス語学科の出身で、チュニジアの日本大使館で派遣員として働いたあとアジ研に入り、研究者としてのキャリアを仏語圏アフリカの農業農村研究から始めた。しかし、最初の研究対象国に選んだザイール(現コンゴ民主共和国)が政情不安に陥り、かわりに赴任したコンゴ共和国では内戦に巻き込まれた。このときの過酷な実体験が彼を紛争研究に向かわしめるのである。アフリカ農産物流通に関する論文を仕上げてから彼は、一転、1994年に起こったルワンダ大虐殺を研究テーマにすえた。
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