情報管制の夜に中国で流れた詩

野嶋剛
執筆者:野嶋剛 2010年10月21日

劉暁波のノーベル平和賞受賞が決まり、厳しい情報管制が敷かれるなか、中国のネットユーザーのあいだで作者不明の詩が流れました。

管理者に消されても消されても、掲示板から掲示板にコピーされ、消えることはなく、海外の中国人にも広がりました。私も日本にいる中国系の友人から「こんなの知ってる?」と教えられました。なかなか面白かったので読者の皆さんに紹介します。

 

作者:野夫

 今夜の我々に敵はいない。

今夜は寒露。敏感な言葉が敏感な言葉を獲得した。

今夜の海南は暴風雨、錦州と全国は暗闇に包まれた。

無数の人々が流す涙は雨のようだ。

深まる秋に河の水は固まり、星空まで隠された。

今夜の我々はまだ「北」を見つけ出せる。

今夜は北で監獄のオリに氷が張った。

私の兄弟は今も雪に閉じこめられているが、涙は流していない。

今夜の彼に敵はいない。我々にも敵はいない。

だが明日になればすべては見直され、識別される。

今夜は全世界が耳を傾けている。

今夜は誰が地獄で門をたたいているのか。

神を冒とくする者が弱い声で責め続ける。

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執筆者プロフィール
野嶋剛
野嶋剛 1968年生れ。ジャーナリスト。上智大学新聞学科卒。大学在学中に香港中文大学に留学。92年朝日新聞社入社後、佐賀支局、中国・アモイ大学留学、西部社会部を経て、シンガポール支局長や台北支局長として中国や台湾、アジア関連の報道に携わる。2016年4月からフリーに。著書に「イラク戦争従軍記」(朝日新聞社)、「ふたつの故宮博物院」(新潮選書)、「謎の名画・清明上河図」(勉誠出版)、「銀輪の巨人ジャイアント」(東洋経済新報社)、「ラスト・バタリオン 蒋介石と日本軍人たち」(講談社)、「認識・TAIWAN・電影 映画で知る台湾」(明石書店)、訳書に「チャイニーズ・ライフ」(明石書店)。
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