退潮する民主党穏健派「ブルー・ドッグ・デモクラッツ」

執筆者:足立正彦 2010年11月1日
エリア: 北米

 共和党内における保守派と穏健派の主導権争いやティーパーティー(茶会党)運動の共和党への影響について「アメリカの部屋」で以前取り上げたが、2010年中間選挙が民主党の穏健派・保守派民主党下院議員にもたらす影響について今回考えてみたい。

 共和党は下院で現有議席の178議席に40議席を伸長させれば合計218議席となり、過半数を奪回することになる。米国の選挙分析専門家や民主、共和両党のストラテジストらの間では共和党の下院での過半数奪回が確実視され、共和党が過半数にどの程度上乗せできるかに関心が移っており、共和党圧勝の「レベル」に関する議論が行われている。選挙分析に定評があるクック・ポリティカル・レポートのチャーリー・クックは、民主党が下院で48~60議席を減らし、場合によってはさらに多くの議席を失う可能性を指摘している。また、クックは最低でも43名の新人候補が下院議員に当選することが確実な情勢である一方、40名から50名の現職下院議員が再選に失敗する可能性があり、その95%以上が現職民主党下院議員であり、1992年以降最も多くの新人下院議員が誕生すると予測している。

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執筆者プロフィール
足立正彦(あだちまさひこ) 住友商事グローバルリサーチ株式会社シニアアナリスト。1965年生まれ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より、住友商事グローバルリサーチにて、シニアアナリストとして米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当し、17年10月から米州住友商事ワシントン事務所に勤務、20年4月に帰国して現職。
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