中間選挙・民主党大敗による米国外交と2012年大統領選挙への影響

執筆者:渡部恒雄 2010年11月4日
エリア: 北米

 今回の中間選挙の詳細なところは足立氏にまかせるとして、外交政策と2012年の大統領選挙への影響について書いてみたい。

 下院では民主党が過半数を割り、共和党が60議席以上を上積みする大勝となった。上院では、民主党がかろうじて過半数を確保したものの、改選前の59議席から大きく議席を減らし、おそらく52議席+αぐらいになるだろう。この影響は、直接には、オバマの対露政策と「核なき世界」に影響してくるだろう。ロシアとの新戦略兵器制限条約(START)の批准には上院の3分の2の賛成が必要だが、これが苦しくなる。おそらく、選挙前と同じ構成で行なわれるレイムダックセッションで、飛び込みで批准をしなくてはならなくなるだろう。もしこれがうまくいっても、さらにその先である包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准はかなり難しいことになろう。これはオバマの核軍縮政策には大きなダメージだ。

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執筆者プロフィール
渡部恒雄(わたなべつねお) わたなべ・つねお 笹川平和財団上席研究員。1963年生まれ。東北大学歯学部卒業後、歯科医師を経て米ニュースクール大学で政治学修士課程修了。1996年より米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員、2003年3月より同上級研究員として、日本の政治と政策、日米関係、アジアの安全保障の研究に携わる。2005年に帰国し、三井物産戦略研究所を経て2009年4月より東京財団政策研究ディレクター兼上席研究員。2016年10月に笹川平和財団に転じ、2017年10月より現職。著書に『大国の暴走』(共著)、『「今のアメリカ」がわかる本』、『2021年以後の世界秩序 ー国際情勢を読む20のアングルー』など。最新刊に『防衛外交とは何か: 平時における軍事力の役割』(共著)がある。
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