静岡空港の決算がつきつける地方空港の惨状

執筆者:富山創一朗 2010年12月6日
エリア: 日本

 年間収入2億円、経常赤字16億円、負債182億円――。民間企業だったら到底存続不可能な絶望的な決算が明らかになったのは、静岡県にある「富士山静岡空港」である。2009年6月に開港した地方空港だが、開港前の反対運動や最近の日本航空(JAL)との搭乗率保証を巡るすったもんだなどで全国区の話題となった。

表に出てこない地方空港の収支

大赤字となった静岡空港 (c)時事
大赤字となった静岡空港 (c)時事

 民間ならまず不可能な事業が存続しているのは、静岡空港が、株式会社形式や、いわゆる第3セクターではないから。静岡県の直営で、赤字はすべて県の一般会計から支出され、穴埋めされているのだ。  ところが、実際に県から支出されている穴埋め額は4億円余りに過ぎない。実は16億円という赤字額は、「企業会計の考え方を取り入れた収支」として静岡県が試算したもので、民間企業だったら当然負担すべき減価償却費9億円などが費用として含まれている。空港が老朽化した際の再投資費用を見込んだ数字なのだが、一方で、実際に県が一般会計から支出している4億円にはそれが含まれていない。  行政の予算・決算は単年度の収支だけを考える仕組みになっており、空港が老朽化した場合には、その段階で一挙に膨大な予算を措置することが必要になる。企業会計の視点でいけば、減価償却費として毎年計上しなければならない経費を先送りしているわけで、それでは空港事業は永続しない。だからこそ企業会計の考え方を取り入れることが必要なのだ。  静岡空港の、そんな収支状況が明らかになったのは、全国的にみると珍しいケースだ。日本国内には100近くの空港があり、そのうち60余りが地方自治体によって管理運営されている。国土交通省が調べたところでは、そのうち収支を公表していたのは10の自治体が管理する25空港だけ(9月現在)。しかも静岡のように企業会計の考え方を取り入れた収支を公表していたのは、秋田空港と富山空港の2つだけだった。静岡県の静岡空港は実態を明らかにした3番目の地方空港だったというわけだ。  静岡県がこの決算を公表したのは11月17日。県が公表の準備をしていた10月は、国の事業仕分けで「社会資本整備事業特別会計」の「空港整備勘定」がヤリ玉に挙げられていたまさにその時期だった。事業仕分けでは地方空港の経営情報の不透明さが指摘され、国交省も開示に向けて姿勢を転換している。

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