ノーベル平和賞授賞式欠席をめぐり透けて見えたコロンビア外交の揺らぎ

遅野井茂雄
執筆者:遅野井茂雄 2010年12月13日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 中南米

 今年のノーベル平和賞受賞式に当初欠席を表明した19カ国の中に、中南米では反米のベネズエラ、キューバとともに南米で最も親米的なコロンビアが名を連ねていたことは驚きをもって受け止められた。欠席の背景には貿易相手国第2位となった中国への配慮のほかに、今年8月に発足したサントス政権下での「アメリカ離れ」があると観測された。反響の大きさからか最終的には出席となったが、外交の揺らぎを垣間見せるものとなった。

 コロンビアは、武力解決を優先するウリベ政権(2002-2010年)の下で、アメリカ政府と一体となってゲリラ対策を進めてきた。本来麻薬対策を目的としたプランコロンビアの下で、米国からの援助は軍事援助を主に10年間に80億ドルに上る。同時多発テロ後はブッシュ政権から「国際テロ組織」と認定された左翼ゲリラ勢力の掃討に米軍顧問の支援を受けて成功してきた。昨年には米国の麻薬対策戦略上の要でもあったエクアドルのマンタ空軍基地の米軍への貸与を反米左派のコレア政権が更新しない決定をしたのに対し、コロンビア政府は米軍に軍港を含め7基地を貸与する協力を受け入れた。左派政権諸国が反発する中で、域内での孤立を恐れない一貫した親米路線がそこにはあったのである。

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執筆者プロフィール
遅野井茂雄
遅野井茂雄 筑波大学大学院教授、人文社会系長。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(編著)。
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