「特別会計仕分け」の末路: 「雇用戦略・基本方針2011」とは何なのか

原英史
執筆者:原英史 2010年12月16日
カテゴリ: 政治
エリア: 日本

 

 「雇用戦略・基本方針2011」が12月15日に決定・公表された。総理大臣以下関係大臣、産業界、労働界、有識者の集まる「雇用戦略対話」の場で、政労使の合意として決定されたものだ。
 
 中身をみると、要するに、今年10月に行った「特別会計仕分け」(事業仕分け第三弾)で「廃止」とされた労働保険特別会計関連事業の「復活」が目的だったようだ。
(「基本方針」は一応、雇用戦略全般を扱う体裁の文書になっているが、それ以外の項目には特段目新しい内容はない。)
 
 具体的に見ると、
1、ジョブカード
事業仕分け第三弾: 「事業廃止」
 
●基本方針2011: 「制度を推進する」
 
2、雇用保険二事業関連
(1)(財)産業雇用安定センター
事業仕分け第三弾: 「運営費補助の廃止」
●基本方針2011: 「今後とも実施する」
 
(2)(財)介護労働安定センター
事業仕分け第三弾: 「交付金の廃止」
●基本方針2011: 「今後とも実施する」
 
3、労災保険: 社会復帰促進等事業
事業仕分け第三弾: 「原則廃止」
 
●基本方針2011: 「今後とも実施する」
 
 これら「仕分け」結果については、もともと、連合が「極めて遺憾」との談話を発表。12月1日の政府・連合トップ会談の場で、古賀伸明会長から菅総理に「雇用戦略対話の場で具体的に詰める」ことを要請していた。
 
 これでは、「事業仕分け」は何だったのかということだ。
 こんなことなら、最初から、「事業仕分け」の場に連合の関係者も出席してもらって、公開討論したらよかっただろう。
 
 ちなみに、今回、予算が「復活」された(財)産業雇用安定センター、(財)介護労働安定センターは、かねて、天下りだらけで「まるで第二の厚労省」と指摘されていたところだ。
ちょっと古いデータだが、2005年3月7日の読売新聞記事によれば、産業雇用安定センターは正職員91人のうち54人が厚労省天下り、介護労働安定センターは159人のうち80人だったという。
 
 今週の本誌記事「やりたい放題の『官の巻き返し』を憂う」(古賀茂明氏インタビュー)で、長妻昭・前厚労大臣が天下り問題に切り込み、更迭されたことが語られている。
長妻氏だったら、これら予算をどう判断したのか、是非聞いてみたいものだ。
 
 
 
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執筆者プロフィール
原英史
原英史 1966年東京都生れ。東京大学法学部卒、米シカゴ大学院修了。89年通商産業省(現・経済産業省)入省。大臣官房企画官、中小企業庁制度審議室長などを経て、2007年から安倍・福田内閣で行政改革・規制改革担当大臣の補佐官を務める。09年7月退職。株式会社政策工房を設立し、政策コンサルティング業を営む。大阪府・市特別顧問、国家戦略特区ワーキンググループ委員(内閣府)、社会保障審議会年金事業管理部会委員(厚生労働省)を務めるほか、NPO法人万年野党理事、「地方議会を変える国民会議」発起人など。著書に『官僚のレトリック』(2010年、新潮社)、『「規制」を変えれば電気も足りる』(2011年、小学館101新書)、『日本人を縛りつける役人の掟/岩盤規制を打ち破れ』(2014年、小学館)、『国家と官僚』(2015年、祥伝社新書)。
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