昨年十一月にマニラで開かれた「東アジア十三カ国首脳協議」は、日本での注目度は低かったが、政治的な意味は意外なほど大きい。そこからは、経済危機を通じて米国一辺倒の危うさを知ったアジア諸国の、静かな米国離れの兆候が見て取れる――。
[香港発]「あの会議を契機に、ひょっとするとEAEC(東アジア経済協議体)が生まれるのだろうか」――。
最近、アジアを研究する学者やジャーナリストの間で、こんな議論が交わされるようになった。「あの会議」とは「東アジア十三カ国首脳協議」。昨年十一月末、東南アジア諸国連合(ASEAN)十カ国の首脳会議に加わる形で、日本、中国、韓国の北東アジア三カ国の首脳がマニラに集まった。ちなみにEAECは九〇年末にマレーシアのマハティール首相が設立を主張した経済共同体。米国抜きの枠組みだったために同国の怒りをかい、アジアと米国に挟まれ困惑した日本も無視し、結局は立ち消えになった構想だ。
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