多面的に深まるアジアと中東の「相互依存体制」

執筆者:五十嵐卓 2000年1月号
エリア: 中東

 九九年十月下旬、韓国の現代グループは石油子会社・現代精油を、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビの国際石油投資公社(IPIC)に売却すると発表した。IPICはアブダビ政府の石油事業の海外展開を担当する企業で、現代精油の株式五〇%を五億一千万ドルで購入、七人の役員陣のうち四人を送り込み経営権を掌握する。IPIC側は残る株式を七〇%まで買い進めるオプションを持っているほか、現代精油が先に買収している韓火エネルギーも傘下に収める方針だ。韓国では九七年夏のアジア経済危機以来、銀行、証券、自動車、化学など様々な分野で外資による企業買収が相次いでおり、現代精油の買収劇もその一幕といえる。だが、視点を中東―アジアのエネルギー関係に広げると、二十一世紀に確実に深まる両地域間の相互依存の新たな構図が浮かび上がって来る。 IPICの現代精油買収は、九〇年代に入って活発化した湾岸産油国による対アジア投資拡大の流れの中にある。すでにサウジアラビアは同じ韓国の双竜精油の株式を三五%保有しているほか、フィリピンの国営石油会社、ペトロンにも四〇%を出資、中国では、最終的には頓挫したものの山東省青島での合弁製油所計画を進めるなど、参入機会を常にうかがっている。クウェートはタイでスタンド網に出資したほか、ラヨン製油所(処理能力日量三十万バレル)の新設計画への参加を表明。インドでも複数の製油所プロジェクトに意欲を示している。

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