「キリスト教」が左右する米国大統領選

執筆者:立山良司 2000年2月号
カテゴリ: 国際 文化・歴史
エリア: 北米

 今年十一月に、キリストが微笑むのは共和党候補か、それとも民主党か――米国の大統領選挙戦が熱を帯びるにつれて、こんな“推測”まで米マスコミに登場している。各候補が競って「敬虔なキリスト教徒」のイメージ売り込みに躍起となっているからだ。 昨年十二月に行われた共和党のテレビ討論で、司会者に「最も尊敬する哲学者は?」と聞かれたブッシュは「キリスト」と答え、さらに「救世主キリストを受け入れれば、心も人生も変わる。それを私は経験した」と自らの“宗教体験”を説明した。民主党のゴアもそうだ。何らかの問題に直面すると「W.W.J.D?」と自問すると発言している。「W.W.J.D?」とは「What would Jesus do?(イエスであれば、どうされるだろうか)」の略語だ。 ゴアをはじめ、各候補が盛んに強調しているのが、「ボーン・アゲイン(再生)」体験を持っているということだ。「ボーン・アゲイン」とは、何らかの宗教的な体験を通じ改めて自分の信仰を確信することで、ブッシュのいう「経験」も同じことを意味している。このような再生体験を重視するプロテスタント系のキリスト教諸派はエバンジェリカル(福音派)と呼ばれ、一九七〇年代以降、米国で急速に教勢を伸ばした。現在では有権者の二〇から三〇%が再生体験を持っているといわれ、選挙戦の行方を握る重要なファクターである。

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