市場原理だけでは解決しない地球温暖化問題

執筆者:五十嵐卓 2000年2月号

 一月十八日、世界銀行は二酸化炭素(CO2)をはじめとする地球温暖化ガスの排出権取引の活発化を狙った「炭素基金」の創設を発表した。先進国政府、企業から資金を集め、途上国での温暖化ガスの排出削減プロジェクトに出資、削減実績を排出権として出資者に“配当”する仕組みだ。出資者である先進国政府や企業は受け取った排出権を自らに課せられた削減義務の一部に充当でき、その分の義務履行を免除される。 石油、石炭など化石燃料を消費することによって発生したCO2などは、見方を変えれば「負のエネルギー資源」といえる。「石油の世紀」とも呼ばれる二十世紀はエネルギー資源をめぐり多くの戦争が発生し、国家、企業の盛衰も起きた。世紀末の炭素基金創設は二十一世紀が、二十世紀型のエネルギー争奪に加え、「負のエネルギー資源」をめぐる緊張も抱え込もうとしていることを象徴している。

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