60万人

執筆者:伊藤洋一 2000年2月号
カテゴリ: 国際 社会
エリア: 日本

 日本人なら誰でも心のどこかで気にしながら、「遠い先のこと」と忘れようとしていたことだった。政府の政策や人々の考え方の変化で変わりもする。しかしそれは、間違いなく二十一世紀の日本の姿を変え、日本人に難しい選択を迫るものとなる。 それとは「人口の減少」だ。国連は言う。「日本が急速に減少する労働力人口(十五―六十四歳)を維持するには、今後五十年間に渡って毎年六十万人以上の移民受け入れが必要」と。計算の根拠はこうだ。日本の一九九五年の労働力人口は八千七百万人。二〇五〇年には五千七百万人に減る。五十年で三千万人だから、毎年六十万人の移民(代替移民=replacement immigration)が必要だと。 確かに単純計算に過ぎない。日本という国の生産レベル維持という観点から言っても、一人一人の労働力の生産性を上げ、六十五歳以上の人口の生産人口への参加を促進すれば(多分そうなるが)、それほどの移民は必要ない。人口が減って成長率が落ちても、一人当たりの富が維持されれば良いという考え方もある。 しかしもっと問題なこともある。今平均四十歳の日本の全国民平均年齢が、二〇五〇年には十歳も上がって五十歳になり、全人口に占める六十五歳以上の高齢者の労働力人口に対する割合は急激に上がる。介護倒れの国になる恐れさえあるのだ。介護にも移民枠を広げようと言う考え方はここから来る。

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