人気ナンバーワン弁護士の栄光と孤独

執筆者:矢吹信 2000年2月号
エリア: 日本

 昨年十二月十四日、参議院財政・金融委員会が商工ファンドの大島健伸社長を証人喚問した。この場面をテレビなどでご覧になった方は、大島社長に寄り添うようにして行動を共にしていた、派手な身なりの男性にお気づきになっただろうか。この男性こそ誰あろう、『日経ビジネス』誌が発表を続けている「人気弁護士ランキング」で、四年連続トップの座を守り続ける久保利英明弁護士である。 身長百六十七センチ、体重八十一キロ、ビヤ樽を思わせないでもない体は、いつも仕立ての良いスーツに包まれている。お気に入りのネクタイは「昔はベルサーチで、最近はパンカルディーかレオナール」(久保利氏)。左手に輝く金色の腕時計はブルガリで、「一ドル八十円当時にニューヨークで一万ドルで買った」。トレードマークの口ヒゲは、「総会屋に対抗するためにたくわえた」との説があるが、実はそうではない。十年ほど前、南米旅行から帰国後、不精ヒゲを剃らずに出勤したら、当時所属していた事務所の女性にほめられたのがきっかけだ。いずれにせよカタギには見えにくい風貌だが、約百社を数える顧問先企業からは絶大な信頼を得ている。 商工ファンドとの関係は、「大島社長が暴力団とも対抗し、総会屋にも一切、金は払わないというので総会指導を引き受けた」。国会喚問の直前、商工ファンドは株主総会を開いたばかり。総会にはプロ株主が大挙して出席、専門誌に掲載された総会議事録を読むと、ヤジをはさみながらも用意周到な質問が何度も飛んでいる。しかし二時間後には、議案の信任を一括して問う「一括上程方式」といわれる方法で議決、株主総会は無事終了した。この方式は、議案と無関係な質問などで総会の混乱を狙う総会屋に対抗し、会社主導の総会運営のために考案されたもので、別名「久保利方式」とも呼ばれる。

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