「山師」が創業したアラビア石油の興亡

執筆者:喜文康隆 2000年3月号

「採掘権は実質的にサウジアラビアの王室と山下家でむすばれた。その意味を理解している人はだれもいなくなってしまった」 サウジからアラビア石油に与えられていたカフジ油田の採掘権が失効した二月二十八日、アラ石の創業者・山下太郎ゆかりの男はこうつぶやいた。 二十世紀は石油の世紀だといわれる。二つの世界大戦とオイルショックをまたぐ百年のドラマは、ナショナリズムと市場メカニズムの相克のなかでうまれた合従連衡の歴史である。 そのなかで、山下太郎がサウジアラビアとクウェートを相手に、カフジ油田の四十年間の採掘権を獲得したドラマは特異な光を放っている。山下の言葉で言えば「時代の趨勢という僥倖」がこのドラマを後押しした。

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