「石原新税」で広がる銀行格差

執筆者:岩井良尚 2000年3月号
エリア: 日本

いまだ再生されない金融システムの弱点が露見して…… 石原慎太郎東京都知事が唐突にぶち上げた二〇〇〇年度からの「外形標準課税」。総資産五兆円以上の銀行を狙い澄ました新税に、大手銀行が慌てふためき、ヒステリックに反対を叫んでいる。全国銀行協会の杉田力之会長(第一勧業銀行頭取)はマスコミのインタビューで「行政訴訟も選択肢として視野に入れる」と話している。銀行が行政を相手取って訴訟を起こすなどと表明するのは前代未聞のことだ。 こうした大手銀行の尋常でない怒りの裏には、それ相応の事情がある。公的資金の注入や相次ぐ再編で隠されていた大手銀行の実態が、再び白日の下に晒されることを恐れているのだ。外形標準課税は銀行の経営体力を確実に低下させる。しかしそれ以上に問題なのは、大手銀各行の危うい財務内容が明らかになることだと言っていい。 外形標準課税は企業や個人の稼いだ利益ではなく、外形として明らかに見えるものに一定の比率で課税する考え方である。「石原新税」は大手銀行の東京都内であげた業務粗利益に毎年三%の税率を課す構想だ。大手銀行は各行とも、企業の営業粗利益に当たる業務粗利益や営業利益に相当する業務純益は、ともに立派な黒字である。「ゼロ金利」で資金を市場から調達し、企業や個人に対して一―二%超の金利で貸し出すのだから当然といえば当然だ。

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