米司法インフラが支える「現代のエジソン」

執筆者:矢吹信 2000年3月号
エリア: 北米

 ニューヨークから車で一時間ほど行ったコネチカット州スタンフォード。「現代のエジソン」はその木立の中に研究所を構える。ジェイ・ウォーカー氏、四十四歳。ヤフー創業者のジェリー・ヤン氏らと並ぶネット時代の寵児だ。 発明王トーマス・エジソン(一八四七―一九三一)が生涯に取得した特許の数はおよそ千百件。一方のウォーカー氏は七年前、研究所ウォーカー・デジタル社を立ち上げ、既に四十件の特許を取得している。これ以外に、各国に出願中の特許が約三百件ある。 ウォーカー・デジタル社は不思議な会社である。「インベンター」(発明家)と刷り込まれた名刺を持つスタッフが七十五人。しかし博士号取得者はほとんどおらず、大半が修士号取得者か学部卒業のみの学歴だ。専攻も生物学、数学、心理学とバラバラで、元ダンサーまでいる。「発明家に大事なのは想像力。学歴が高くなると、知識は確かに多いがアタマが固くなる」。こう語るウォーカー氏自身、名門コーネル大学を出ているものの学士のみ。専攻も労働関係論で、発明家のイメージからはほど遠い。ただ幼い頃から探求心と起業家精神は人一倍強かったようで、投資ゲーム「モノポリー」の必勝法を考案して大学時代に出版、印税を稼いで、父親に不動産事業で身を立てることを勧められたほどだった。大学卒業後に手を染めた事業も数多く、新聞、雑誌、クレジットカード関連サービス、美術商などを経験したが、「どれも画期的なアイデアがあったわけではなかった」。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順