我が体験的ベンチャー企業論

執筆者:成毛眞 2000年4月号
タグ: 日本 アメリカ

ベンチャー・ブームはホンモノか、それとも一過性のものに終わるのか――。数々のベンチャー企業を見続けてきたIT企業トップが語る「日本のベンチャーの可能性」。 私は今年の五月一日をもってマイクロソフト日本法人の社長を辞める。就任して八年半。社長業も一つの仕事であるという点では他と変わるところはないので、正直なところ、五年も続ければ飽きがくる。すでに二、三年前から、「次は何をしようかな」と考え続けていた。 そこにきて言わずと知れたベンチャー・ブームである。私は昨年十一月から、ディー・ブレイン・キャピタルが運営している「インターネット成長未公開企業ファンド」のファンドマネジメントアドバイザーを務めており、ベンチャー企業が立ち上がる現場をいくつも見つめてきた。毎週、数社のベンチャー経営者たちに会い続けていると、十社に一社くらいは「個人的に出資しても良いかな」と思える会社もあり、実際に出資したところもある。こうした熱気を肌で感じているうち、すでに大企業になったマイクロソフトで社長を続けているより、自分でリスクを背負って事業がしたいとの思いが断ちがたくなってきた。そこで、今年中に新たに、ITコンサルティングと株式投資を柱とする会社を立ち上げることに決めた次第である。

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執筆者プロフィール
成毛眞(なるけまこと) 中央大学卒業後、自動車部品メーカー、株式会社アスキーなどを経て、1986年、マイクロソフト株式会社に入社。1991年、同社代表取締役社長に就任。2000年に退社後、投資コンサルティング会社「インスパイア」を設立。2011年、書評サイト「HONZ」を開設。元早稲田大学ビジネススクール客員教授。著書に『面白い本』(岩波新書)、『ビジネスマンへの歌舞伎案内』(NHK出版)、『これが「買い」だ 私のキュレーション術』(新潮社)、『amazon 世界最先端の戦略がわかる』(ダイヤモンド社)、『金のなる人 お金をどんどん働かせ資産を増やす生き方』(ポプラ社)など多数。(写真©岡倉禎志)。
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