空爆も、経済制裁も、セルビアの独裁者を倒すことはできなかった。今やミロシェビッチは「欧州のサダム」と化した。NATOの誤算とは何だったのか。そして今、セルビアでは何が起きているのか――。
[ベオグラード発]ちょうど一年前の今頃、コソボ自治州の紛争をめぐって、NATO軍はユーゴに激しい空爆を行なっていた。三月に始まった容赦ない攻撃は、七十八日間にわたって続けられ、出撃回数は三万七千四百六十五回に及んだ。セルビアの独裁者、スロボダン・ミロシェビッチもついに膝を屈し、和平案を呑んだ。すでにハーグの旧ユーゴ戦争犯罪法廷からは、人道上の罪と戦争法違反の容疑で起訴され、もはやミロシェビッチの命運も尽きたと、NATO側は読んでいた。
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